ハケンの畦道

ハケンとして働いて思うことあれこれ。

父には理解できないだろう

今週のお題「お父さん」

父は平成9年に亡くなっているので、「私は今在宅勤務をしているのだよ、会社に通わないのに給料を貰っているのだよ」と自慢することはできない。

けど、父にはたぶん理解できないだろう。

職場に行かないで仕事するなんてどういうことや。

仕事が大好きだった、人と関わるのが大好きだった父には、一日中PCの前にいてどうして仕事できるのか、それがどうして仕事として成立するのか、きっと理解できないだろう。

前の東京オリンピックの年に生まれた私は、学校に通うのが大嫌いだった。勉強が苦手だったわけでも、いじめられたわけでもない。片道30分以上歩いて通うのが嫌だったのだ。通うだけで一時間無駄になる。歩きながら本を読むのは歩きスマホより危ない。

だから、家に居ながらにして勉強ができればいいなとずっと思っていた。アルプスの少女ハイジに出てくるクララに憧れた。家庭教師っていいなあ。車椅子の意味も知らずに、家から出ないで勉強できることに憧れた。友達なんて適当にどこかから連れて来ればいい。ピアノは習ってやってもいい。ピアノの先生は家に来るから。

仕事に通うのも嫌いだった。満員電車に耐えきれず最初の仕事は5年で辞めた。初めての事務系の派遣は歩いて通えた。平成になって職場からも街角からも煙草が消えて、お茶汲みも灰皿洗いもなくなった。

でも、通勤時間が長くなった。大阪の方が仕事が多くて、面白い。だけどな、やっぱり遠いなあ。そう思っていたら、通えなくなった。

在宅勤務が始まって三ヶ月以上になる。もうすっかり在宅モードになってしまって、いざ出勤日に、どうやって電車に乗ったのか思い出せなかった。

お父さん。私は在宅勤務に向いているよ。

お父さんは人と話したり会ったりするのが好きだけど、私は苦手なんだ。

私は人嫌いなんだよ。私がスポーツが嫌いなのは、足が遅くて走るのが苦手だからだけじゃない。人と接するのが嫌いなんだ。大勢の人の無神経な大声や、筋肉体力自慢の人の知性のない顔が嫌いなんだ。

それは生まれつきで、誰かのせいじゃない。お父さんのせいじゃない。もちろん、お母さんのせいでもない。

お父さん、私は今、かなり満足しているよ。自分の思った通りに世の中が変わっていくよ。

だからお父さん、私は今、いや、昔からそうだけど、幸せだよ。